2014/06/21

動物に直に触れるのは要注意~MERS(中東呼吸器症候群)

中東呼吸器症候群(MERS)が注目されている。
予防のワクチンはなく、発病すると特効薬もない重い呼吸障害で死亡率も高い。
で、原因として新種のコロナウィルスが見つかり、WHOもサーベイランスを強化しており、日本でもハイリスクの人に検査をしている。 http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2013/05221052.html
どういう感染経路なのか?
最新号の医学雑誌に掲載された記事によれば、ラクダの鼻水に直接触れて感染した例が確認された、とのことです。

Evidence for Camel-to-Human Transmission of MERS Coronavirus

経過:軍役をリタイアしたサウジの44歳男性。2013年11月3日に重い呼吸困難で大学病院のICU(集中治療室)に入院した。入院の8日前、発熱、鼻水、咳、倦怠感を認め、5日後から徐々に呼吸困難が悪化した。
患者は75km南で9頭のラクダを飼っていた。患者と3人の友人は入院3日前まで毎日ラクダ小屋を訪れていた。友人の話によると、9頭のうち4頭(仮にB,F,G,I)は患者の発症1週前から鼻水をだしていた(Table 1TABLE 1
Identification of MERS-CoV RNA in Nasal Swabs and MERS-CoV Antibodies in Human and Dromedary Samples.).そして患者は発病1週前からラクダBの鼻に薬を塗りつけていた。 患者以外の友人は誰もラクダの鼻水や鼻の粘膜に直接触れてはいなかった。友人らはいずれも患者発症60日後も健康だった。
入院5日目、彼の18歳の娘に上気道炎症状がでたが、何の後遺症も残さずに3日で治癒した。
入院後も患者の病状は悪化しつづけ、11月18日(入院16日目)に亡くなった Figure 1に経過を示す。
FIGURE 1Timeline of the Main Events and Collection of Samples. 更に詳しいデータなどは Supplementary Appendix を参照のこと。
10年位前には、中国で見つかった重症急性呼吸器症候群(SARS)が、やはりコロナウィルスの一種でハクビシンという猿から見つかったとされたが、その後の調査でハクビシンの疑いははれて、蝙の一種キクガシラコウモリがSARSコロナウィルスの自然宿主とされた。
くしゃみなどでも感染するリスクもあるし、直接動物の分泌物には触れないことですね。各地のラクダの鼻風邪症状に注意だね。
SARSを思い出したのは、先日、渋谷区内のハクビシン捕物騒動の様子を友人小児科医から聴いたので、つい、ハクビシンー>SARS->コロナウィルス>MERSと思い出してしまった。いまはハクビシンがSARSコロナウィルスの自然宿主ではないと知ってちょっと安心したところです。

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