2014/03/14

「プロモーションが薬を決める」態度はよろしくありません

感染症専門医が多く参加するMLに、神戸大学の岩田健太郎先生が投稿され、
転載自由ということなので、以下にペーストしました。迷惑電話が増えても困る
ので、電話とFAX番号は消しました。

---引用ここから---
○○先生

お世話になります。感染症内科の岩田健太郎です。かねてより肺炎に対する効果が低いとされていたドリペネム(フィニバックス)が、人工呼吸器関連肺炎の治 癒率がイミペネムより低く、死亡率が高いことを受けてFDAの警告を受けています。FDAはこの抗菌薬をいかなる肺炎にも承認していません。
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm388328.htm

しかしながら、塩野義製薬はこのような事実について自社HPで情報提供しておりません。日本ではこの薬に肺炎に対する適応がありますが、その根拠も定かではありません。これは非常に不誠実な態度だと思います。

https://www.shionogi.co.jp /med/download.php?h=c6a10e2b7d9fd5c6bc2a624cd562140ahttps: //www.shionogi.co.jp/med/products/drug_ha/g0l2sg000000376v.html

最近、塩野義はみだりにインフルエンザの点滴治療薬(ラピアクタ)を喧伝するCMを出したり、「抗菌薬はまずカルバペネムだ」という誤った情報提供をする等、感染症家としては看過できない倫理に悖るプロモーションを行っております。感染症の専門家、青木眞先生もこれを憂慮して同社スポンサーの企画を辞退されてしまい ました。

http://www.yakuji.co.jp/entry35009.htmlhttp://www.yakuji.co.jp/entry35009.html

当院でもドリペネムの誤用が目立ちます。特にxxと△△科です。両科に悪気はないと思いますが、プロモーションに踊らされて、実際の薬理学的属性や臨床試験のデータをご存じないはずです。

ディオバン、ブロプレスのみならず、このような「プロモーションが薬を決める」態度はよろしくありません。

カルバペネムはよりよい選択肢が残っており、ドリペネムでなければ治せない患者を岩田は想定できません(使ったことありませんし)。

上記の理由から、ドリペネムの採用中止を具申します。宜しくご検討くださいませ。

岩田健太郎

神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分
神戸大学医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野
神戸大学医学部附属病院感染症内科
神戸大学医学部附属病院国際診療部

〒650-0017 神戸市中央区楠町7丁目5−1

Kentaro Iwata, MD, MSc, FACP, FIDSA

Professor
Infectious Diseases Risk Communication
Research Center for Urban Safety and Security
Infectious Diseases Therapeutics
Kobe University Graduate School of Medicine

Chief, Division of Infectious Diseases
Chief, Division of International Healthcare
Kobe University Hospital
Kusunokicho 7-5-2, Chuoku
Kobe, Hyogo, Japan
650-0017
---引用ここまで---

これらを町の開業医が使うことはありませんが、我々のような零細診療所
外来でもいろいろプロモーションがあります。プロモーションに惑わされずに薬を
選びたいものです。

そもそも新しい薬の名前を覚えるのが苦手。でも、一般小児科外来で
使う薬は、昔も今もあまり変わりません。それに、昔は処方した薬も
いまはほとんど処方しなくなりました。使っても使わなくても子どもの
経過に違いがないからです。

使わなくなると薬の名前も忘れる(笑)

もともと不要な薬だったのです。それはちょうど麻疹(はしか)患者が減ると
麻疹を診断できない医師が増えるのと同じ。

処方しなくなった薬、指導が変わった疾患については改めて書いてみます。

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